PHPカンファレンス小田原2025に参加しました #phpcon_odawara
ソフトウェアエンジニアのための問答ラジオ
パンダとおくだが、Web業界の当たり前を「これって本当にそうだっけ?」と問い直すラジオを配信しています
PHPカンファレンス小田原2025に参加して
2025/4/12 開催の PHPカンファレンス小田原 2025 に一般参加しました。
去年の同カンファレンスに参加した同僚たちが「すごく楽しかった」「小田原のカンファレンスは最高だ」と教えてくれたり、「夏には小田原にキャンプに行きたい」「小田原への移住を本気で検討している」とまで言っていたので、来年は参加してみようと考えていました。
結果、2025年に自分も参加して本当によかったです!
印象に残ったセッションと交流
セッションはどれも聞き応えがありました。初登壇の方の資料は丁寧で、何度も登壇されている方の発表は本当に聞きやすく、たまに登壇する身の自分としても学ぶことがたくさんありました。
高町さんのキーノートの「OSS活動はIssueを立てるだけでも貢献になる」「自分にとって未知の領域にチャレンジすることの大切さ」というメッセージを始め、本当に良い発表が盛りだくさんでした。いくつか抜粋して感想を書きます。
- 吉田あひるさん「恣意性から考える、変更に強いモデルの作り方」
- 吉田あひるさんのことは、当時の自分の同僚の @tenjuu さんを通じて5年以上前から知っていて「あひる焼肉」のことも聞いていたのですが、自分が行っても高度な話についていけないだろうと思って参加できずでした。ひたすら楽しそうな感じは伝わっていました
- 直接お会いしたことがなかったので、この機会にと思ってセッションを聞きに行きました。会場で委員長のasumikanさんのお願いに従って最前列に座ったところ、隣の人が PHPerKaigi 2025 で登壇したときに自分にマイクを渡してくれた青ごへいもちさんでびっくりしました
- しかも、その隣にはまつぴーさんが座っていました。前日の「スタイルガイド本」の読書会に参加してくれた方が「明日、弊社のまつぴーさんという方が小田原に行くそうですよ」と教えてくれていたので、まさかここで会えるとは驚きでした
- よく「界隈は狭い」と言われますが、その界隈という人と人のネットワークの網に自分も乗った感覚(ノードになれた感覚)があり、感慨深かったです
- 発表内容は、「ビジネスロジックは安定しており、それを書くためのドメインモデルも安定している」というあまりにも一般的な前提を「恣意性」という視点から疑ってかかるという野心的なもので、とても刺激になりました
- 前提を当たり前に思っていた自分にとっては素晴らしい内容で、同時にこのような骨太な前提を切り崩していくような発表を自分もしたいんだよな〜と思いました。という気持ちを懇親会で直接あひるさんに伝えることができてよかったです!
- 懇親会ではあひるさんとインターフェースやモジュラーモノリス、クソデカ集約や組織の話をしたりと、思い出に残る楽しい時間を過ごしました!
- 自分のことも知ってくださっていて、「質の高い記事を書く人だと思っていました」と言って貰えてとても嬉しかったです
- あひるさん、青ごへいもちさん・まつぴーさんとやられてるおいラジオ聞くので、自分と友人の問答ラジオも聞いてみてください笑
- meihei さんの「改めて学ぶ Trait の使い方」
- 前半の釣竿の例が野心的でよかったです!
- 自分はそもそも Trait というのは現実世界には存在しない概念だと考えているのでその辺りは議論してみたいですw
- 釣竿のリールに関しては「糸を伸ばす」「糸を巻ける」という抽象的な振る舞いが契約(インターフェース)であり、手で巻くか電動で巻くかという具体的な実装こそがトレイトなのではないかと思いました
- ただ、この例でも「手巻き」「電動巻き」は着脱可能ではないので、そもそもインスタンスしか存在しない現実では、クラスに着脱可能な実装という例が思いつかず
- 実は meihei さんがBASEに入社されてから、半年ほど同じチームで働いていました(今は別チーム)。自分がメンター、meiheiさんがメンティーの関係です。
- Trait については meihei さんが書いたこちらの記事がとてもよくまとまっているのでぜひ
- SAW さんの「PHP で学ぶ OAuth 入門」
- 初登壇とのこと。発表開始前に温かい声援が飛んでいて、やっぱりこういうカンファレンスってスピーカーと参加者の距離が近くていいよなあと実感しました
- 長谷川さんの「低レイヤを知りたいPHPerのためのCコンパイラ作成入門」
- 内容もさることながら、発表の進め方がわかりやすいのなんの。難しい内容のはずなのに、文章のシンプルさ、コードの見やすさ、テンポの良さから脱落せずに話の筋が追えました。本当にすごいです
当日参加したセッションの資料は、改めてちゃんと読ませてもらおうと思います。スピーカーの皆さんスライドを公開してくださって感謝です。愛用の Heptabase に突っ込んでおります。
強いていえば、「BASE から5名登壇しています」に載れなかったのはちょっと悔しいような、惜しいような気がしました。プロポーザルは2つ出して両方落ちてたので、今度からはもっと皆さんに聞いてみたいと思ってもらえるようなプロポーザルを出そうと思います。今回のカンファレンスの皆さんの発表内容を見て、プロポーザルの内容自体をガラッと変えてみようと思ったのでまた次に繋げます。
小田原大合戦とカンファレンスの温かい空気
ただ、小田原大合戦は2位だったのでよしです。めっちゃ嬉しいです。かまぼこ楽しみです!
同じチームだったおぎさんとは PHPerKaigi 2025 で初めて知り合った方です。まさか同じグループになるとは驚き。すごい確率。DI"Y"Container の登壇もとてもよかったです!しかももう一人はペチコン新潟の運営の方 akshimoさんで、おぎさんはペチコン新潟に登壇するそう。これもすごい偶然です。
今回のPHPカンファレンス小田原2025では、カンファレンスって本当にいいなと思った光景がいくつもありました。
- 高町さんのキーノートで「なんとかなる」精神が身についたという話で、OSS貢献にチャレンジすることを会場のみんなに後押ししていたところ
- ひがきさんの発表後の Ask the Speaker で、武田さんが巨大テーブルに対するテクニック(単一テーブル継承、STI)を「こういうときはこういうやり方があるんだよ」と笑顔で伝えていて、ひがきさんが「おお!やばいっす、脳汁出まくってます」と感謝していたところ(周りで聞いていた人たちも笑顔になりました)
- 懇親会でことみんさんが、meihei さんの後輩にカンファレンスで登壇することを熱く勧める
- 大学の部活で上回生やOB、OGが悩める現役を励ます姿と重なって微笑ましかったです
- PHPerKaigi 主催者の長谷川さんからカンファレンスの美しさを学んだ という asumikan さんが、小田原大合戦という一大企画で長谷川さんを唸らせていたところ
- あとでXを見たところ、武田さんも言及されていました
誰かが誰かの後押しをする、応援する、これが自然にできている。小田原大合戦のクロスワードにFlameという回答がありましたが、まさに人から人に伝わる情熱の炎だと思います。見返りを求めずに、与え合う。与えられた人は持ち帰って、また別の人に伝える、与える。与えるのは有益な情報だけではなく、人が誰かに何かを伝えるその熱意も伝播する。カンファレンスの美しさもさることながら、まさに人間の美しさだと思いました。これこそが人間性なんだと言いたくなるような。
カンファレンスに現地で参加する意義と楽しさがはっきりわかる。家でスライドを読んでいるだけだとこの熱気は絶対に味わえません。
委員長のasumikanさんを始め、スタッフの方々、スピーカーの方々、スポンサーの方々のおかげで参加者として楽しむことができました。
前日に少人数の読書会をしていたのですが、それでも日常業務をする中でする準備が大変で、会場の机を移動したりモニターの準備をしながら「4,5人の勉強会でも大変なのに、100人を超える規模のカンファレンスの準備、当日のオペレーションってどれだけ大変なんだろう。本当に運営の方々に頭があがらない」と痛感していました。
運営への感謝と、伝説となったカンファレンス
来年の開催はないとのことで残念ではありますが、今回参加した人たちは「ペチコン小田原はよかった」と口にすることと思います。数年経っても、当時の参加者たちが「あのカンファレンスはよかった」とまだ見ぬ若い人たちに伝える姿が想像できます。
知る人ぞ知る伝説のカンファレンスになったのではないでしょうか。その伝説の一コマに参加できたことを嬉しく思います。「ペチコン小田原は〜」と誰かが笑顔で話すとき、きっと梅丸もスマイルまーるまるで喜んでくれることでしょう。